令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

出かけた。こちらに来てから初めてまともな書店に入れた気がする。近所の書店は小さいし、かといって大都市の書店は大規模すぎるし、隣駅の書店は規模としてはちょうどいいけれど、なんだか商魂たくましくてわたしの好む書店とは異なる。わたしが好むのは、本の匂いがして、店内はクラシックが流れていて、どこか静謐な空気が場を満たしているから動き一つ一つに気を使ってしまう、そんな書店。売れ筋の本のコーナーだけでなく、書店員の個性が垣間見えるようなおすすめの仕方がされていればベスト。
今日は久しぶりに昼間起きていたから、古着屋さん目当てに高円寺へ赴いた。お洋服好きとして前から気になっていたけれど、なかなか行けずじまいだった街。ふと思い立って、古着屋だけでなく書店も調べてみたらビンゴ。チェーンではない、個性豊かな書店がたくさんヒットした。今回は駅前の一軒と、お目当ての古着屋さんの近くにある一軒に向かった。
ああいう、誰かが趣味でやっているような書店はなんと呼べばいいのだろうか。わたしはチェーンの書店よりも、誰かの息遣いが書棚から感じられるような書店が好きだ。その方が並んでいる本の魅力に気づきやすいし、ついついたくさん買ってしまう。そして大体当たりの本を引ける。
今日もたくさん買ってしまった。以前から興味があったもののなかなか見つけられずにいた本なんかも見つけて、もちろん、初めましての本との出会いもあって、そういえばわたしはこうして息をしていたなと思い出した。やはり紙の本は良い。最近はもっぱら電子で揃えていたし、大学に行かないから図書館を使うことも無かった。ちなみに、住民票は移していないので地区の図書館も使えない。だけど久々に書店に足を踏み入れて、本を手にして、ほくほく顔でお店を出るとなんとも心が満たされた。血液がかろやかに循環してくれた。
わたしはお洋服だけではだめなんだな。かわいいだけでもだめなんだ。今日もかわいいワンピースの掘り出し物があって、それはそれは嬉しかったけれど、本を買えなかったらここまで満ち足りてはいなかったと思う。本を読むことで、本を手にすることで、わたしは保たれているらしい。