令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

お姫さまになりたい

お姫さまになりたい。だけどお姫さまってどうすればなれるんだろう。特権階級というものが昔ほどはポピュラーではなくなってしまった現代において、お姫さまとはなんだろう。キラキラのティアラを着ければお姫さま?王子様といつまでも幸せに暮らせばお姫さま?それとも現代のお姫さまはバリバリのキャリアウーマンを指すのかしら。
わたくしが目指すのは、絵本の世界のお姫さま。彼女たちにリアリティはない。性欲なんてないし、キスは愛の確認に使う最上級の方法だし、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるか、キャベツ畑に転がってる。いつもドレスをまとっていて、飢餓も貧困もそこにはない。住んでいるのはかわいいお城。真っ白な壁に、赤い屋根。王様は王国を治めているけれど、その王国に名前はない。
ああ、なんてロマンチックなのかしら。どうして現実はこうじゃないんだろうとため息をつきたくなる。ずっと夢の中で暮らせればいいのに。チープなロマンスの中で永遠の夢を見て、甘さだけで人生を満たす。それで幸せになれる、もっとシンプルな存在でありたかった。どうしてわたくしのこの体は刺せば赤黒い血が出て、月経は来るわ鬱にはなるわ、内臓はグロテスクだわで恋も一筋縄ではいかないのだろう。人間に生まれてきてしまったことがわたくしはこんなにも苦しい。複雑な人間だからこそ真の幸せを味わえるだなんて嘘よ、この世に本当の意味の幸せを味わって死ねる人が一体何人居るというの?絵本の世界の方がずっとずっときれい。
だからわたくしはお姫さまになりたい。だけどもう、生まれた時点でお姫さまにはなれないって決まってるの。それが時折どうしようもなく悲しい。どうしてわたくしはこうなの。どうしてここは絵本の中じゃないの。どうしてわたくしはみんなみたいにこの世界に適応できないの。
毎日息苦しい。もう死ぬしかないなって、分かってるのに、体力が無いから死ぬことすらできない。なんて醜いわたくし。お姫さまには程遠いわたくし。