令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

おひめさま、集う

おひめさまの会合へ行って参りました。お寝坊をしてしまって、身支度にも時間がかかってしまって、タクシーを呼んだけれども10分の遅刻。そわそわと逸る胸を抑えつけて扉を開けると、中では何人ものおひめさま方がお化粧やらお着替えやら、ドレスアップに夢中になっていました。スリッパに履き替えるタイプのお屋敷で、靴箱には色とりどりのかわいいお靴がずらり。主催の一等かわいいおひめさまに案内されて、わたくしもお屋敷へ上がります。
今日は主要な交通網が乱れていたので、遅れる方も多いかしらと思っていたのですがみなさん時間ぴったりで、わたくしの後には一人いらしたのみでした。もう既に空気が作られ始めているのを肌で感じながら、見よう見まねでコートを脱ぎラックにかけます。このラックもまた、かわいい!なにせおひめさま方のコートがずらりと並んでいるのです。ブランドも系統もさまざまで、お店で商品を見るのとはまた違うしあわせな空間が作り出されていました。
会合の内容は、カメラマンさんをお招きしてのプチ個人撮影会と、クリスマスを先取りしたお茶会。お屋敷の中もとびきりかわいいフレンチロココな装飾で満ちていて、撮影会外の撮影にも精が出ます。
これまでのわたくしは、絵本やアニメの世界でしかおひめさまを知りませんでした。現実のおひめさまと言えば、自分かメゾンの店員さんくらい。たまにお店で他のお客さんに遭遇したり、街でおひめさまを見かけたりはしましたが、じっくり話してその実態を知る機会はありませんでした。
ですが、今日の会合ではたくさんのおひめさまに出会えました。ざっと15人くらいでしょうか。ひと口におひめさまと言っても、容姿も内面もバラバラで、まるで体育の前後の女子更衣室のような、きらきらとした空間が形作られていました。
そんな会合でしたから、帰ってきてからは理想のおひめさま像に思いを馳せてしまいました。わたくしはずっと、絵本の中のおひめさまを目指しています。きらきらしていて、苦労なんて知らなさそう、涙は甘そうで、最後は王子さまと結ばれてしあわせに暮らしましたとさ、なおひめさま。それがわたくしの理想でした。
ですが理想は少し変わり始めています。表面上は、絵本の世界から飛び出したようなふわふわひらひらとしたおひめさまでいたいです。でも、その内には強い芯を秘めていたいのです。ちょっとやそっとでは崩れないような芯を内にやどして、その上にひらひらとした砂糖菓子のようなオーラを纏ったおひめさま。それが今のわたくしの理想のおひめさまです。