令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

大麻及び薬物の話

もう話せない、わたくしの想い人の話を致しましょう。いえ、彼はまだ生きております。ピンピンしております。ただわたくしがヘマをしてしまっただけのこと。
想い人は自由な人で、度々薬物のことを話していました。死ぬまでに一度は大麻をやってみたい。別に、少し想像力が豊かになるだけの葉っぱなんだから、そんなに過敏にならなくたっていいじゃないか。あのアーティストだって、大麻をやり始めただろう頃は名曲を生み出してたよ。
そう語っていた想い人は、法的に裁かれることはなくとも、確実に倫理に反していました。ただ、その頃のわたくしは薬物に対してさほど知識のある方でも無かったので、ふーんそういう考え方もあるのね、と愉快に聞いておりました。
あ、一応言っておきますが、この文章は決して違法薬物の所持や使用を推奨するものではございません。かつてアヘンが中国を崩壊させ、戦争を引き起こしたように、薬物は恐ろしいものです。人間を崩壊させる、悪魔からの贈り物です。
想い人も、そう語るだけで、何も本気で薬物に手を出そうとしている様子はありませんでした。彼にとって大麻をやるというのは、ある種の夢だったのでしょう。
わたくしも違法薬物に手を出したことはありません。それどころか、お酒も煙草も、全く知らない純潔の身でございます。でも、わたくしの敬愛する作家さまはどうやら大麻で逮捕された経験があると、つい先日知りました。そしておそらく、その作家さまは、その経験を本にしたためています。題名はそのまま「タイマ」。わたくしはこの本を少し前に読みました。そしてあろうことか、大麻を吸って「ぶっ飛ん」だ描写に共感してしまったのです。
違法薬物にこそ手を出してはいないものの、メンヘラなわたくしは市販薬のオーバードーズをしております。現在進行形で。体に悪いことは分かっておりますが、寿命を縮めたいのです。一応、法には触れていませんし、市販薬を買うお金だって、両親から真っ当に受け取った仕送りから捻出しています。お医者さまも、カウンセラーさんも、両親も、わたくしがODをしていることは知っていて、それは今のわたくしにとって一つのストレス対処なのだと納得してくれています。だから後ろ指さされる部分は無いのですよ。念の為。
市販薬のオーバードーズは、少し大麻に似ているんだろうなとこの頃わたくしは思っていて、嗚呼できることならそれを想い人に伝えてからお別れするべきだったなと思うのです。例えば、アッパー系の効果が出る咳止め薬でのODなら、閉眼幻覚が見れます。音が耳やスピーカーを通すことなく脳に直接響いてきますし、音楽を聴いたなら小さな音まで聞こえます。量を増やせば不思議の国のアリス症候群と言って、自分が小人になったように感じられたり、反対に巨人になったように感じられたりします。市販薬をちょっとばかしたくさん飲むだけで、こういった不思議でおかしな体験ができます。
まあ、毎回そんな夢のような感覚だけが襲ってくる訳もなく、お薬は苦いし、平衡感覚が失われるから危ないし、グロッキーになりながら吐き続ける夜もあるし、感情の制御が効かなくなるし、本は理解できなくなるし、次の日は肩こりが酷いしと、デメリットもそれはそれはたくさんあるのですが、違法では無いので逮捕されることはありません。想い人が求めているものは、逮捕されるリスクを犯さずとも、せいぜい市販薬のODでも味わえるでしょう、きっと。
想い人は過去にも、オーバードーズ常習者と関わっていたことがあります。というか、わたくしがオーバードーズを始めたのはその子への対抗心だって理由の一つです。この辺りの奇妙な三角関係については、またいつか。
とにかく、想い人がODを知らないなんてことは無いのです。でもきっと彼はそれをあくまで自傷行為の一つとしか認識していないのです。それで良いのだと思うけれど、別にこんなものは無理に人に勧めるべきものでは無いと思うけれど、今でもわたくしはODでラリっていると時折、大麻の話をするあの人の声を思い出すのです。