令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

裏垢

また裏垢を始めてしまいました。こんなことをしたって何にもならないのに。いえ、今回は少しなるのかな、動画を売りはじめました。売れました。5分の動画が500円で。PayPayの通知欄に表示される、見知らぬ男性の名前たち。もうそれらに何にも感じない。気持ち悪いとか、嬉しいとか、そんなものは一切なくて、「ああ、そう」と、それだけ。
裏垢……世間ではエロ垢という表現の方が伝わるのかもしれません。そういったアカウントを作成するのはもう何度目でしょうか。その昔、1番最初に作ったアカウントの名前だけは今も忘れません。ルジア。ノスタルジアという言葉が好きで、そこから取った名前。とてもいい名前なのに、嫌な思い出が詰まりすぎたせいでもう使えません。かなしい。
「ルジア」として出会って初めて通話をした男の人を、わたしはご主人様にしてしまいました。馬鹿なわたし。あの頃の不安定なわたし。誰も守ってくれなかった、可哀想で、とてもかわいかった頃のわたし。LINEを交換したその男の人は「たつや」という名でした。それ以外は結局何も知らない。顔も、年齢も、職業も、家も、すべて。わたしはあの人の何を見ていたんだろう。そう、声。あの人の声だけは確かにわたしの心を射止めていました。
何度も苦しい夜を重ねて、LINEのやり取りと、ほんとうにたまにだけできる通話と、主にメッセージの中で下される命令の数々。まだ青かったわたしはそれにすら救いを見出して、命令を次々と遂行していきました。ご主人様との繋がりが欲しくて。たつやさんとの繋がりが欲しくて。
だけど駄目だった。繋がりを求めれば求めるほどご主人様は離れてゆきました。仕事が大変だから、コロナが大変だからと、通話も、会うこともできずに引き伸ばされて、わたしの心は引き裂かれて、つらくて、つらくて、つらくて仕方がなかった時に貴方に出会いました。わたしの大好きな貴方。世界で一番大好きで、尊敬していて、憧れていて、大切で、特別で、とにかく大事な貴方に。
貴方はとても的確に手を伸ばして、わたしを救いあげてくれました。当時のわたしは自分の身に何が起こっているのかあまり理解もしないまま引き上げられていましたが、今になってようやく、自分は崖っぷちに立っていたのだと分かります。貴方に出会えなければ、私は死んでいました。確実に。
ありがとうございますと言わなければならないのに、御礼をどれだけ重ねたって足りないくらいなのに、馬鹿なわたしはさらに迷惑を重ねてしまいました。ほんとうに、あまりにも、馬鹿。ごめんなさい。ごめんなさい。許してなんて言いません、ただ償わせてほしい。そばに置いてください。罪を償わせてください。
お願いです、わたしを見捨てないで。貴方に見捨てられてしまったら、わたしは今度こそ崖から落ちてしまいます。お願いです。わがままなのは分かってます。後からなんだってしますから、わたしをここから救ってください