令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

お気に入りの紅茶屋さん

茶葉が切れてしまったので紅茶屋さんに行った。大学から少し歩いたところにある小さなお店で、夏頃に1度訪れた際、店員さんのサービスがかなり良かったのでまた行きたいと思っていたのだ。あの頃はまだ大学にもギリギリ通っていた気がするし、おそらくはその帰りに寄ったのだけれど、今日はただ図書館に本を返しに行った帰りだった。ちなみに借りていた本は嶽本野ばらさんの『祝福されない王国』だ。黒い寓話集かつ、現代アートのアーティストさんとコラボした本とのことで、色々と実験的な作品だった。

それは置いておいて。件の紅茶屋さんには数ヶ月ぶりに訪れることになる訳だから、わたしはいっそ初めての客の振りをしようかと考えていた。初めて入るお店よりも、時間を空けて訪れる2度目のお店の方が苦手なのだ。この前会いに行った地下アイドルもこの現象が起きて、見事に認知が外れていた。初めてならまだしも、中途半端な常連未満はお互いに態度に困る。高いお洋服を売っているメゾンならそれでも覚えていてもらえるかもしれないが、わたしでも手軽に手を出せるような価格帯の紅茶屋さんだ。きっと訪れるお客さんも多いだろうし、数ヶ月前に数千円買い物をしたきりの客なんて覚えていられないだろう。そう思っていた。

しかし信じられないことに、覚えていてもらえていたのだ。前にわたしが買った茶葉までは覚えてもらえていなかったが(ちなみにこれはわたしも覚えていなかった。最近まで飲んでたのに。袋も捨ててしまった……)なんとなくお見受けしたことがあると言ってもらえた。原宿系ファッションにツインテールのお客さんはもしかするとあまりいないのかもしれない。

この紅茶屋さん、というかこの店舗の店員さんは本当に素敵だ。以前訪れた際も感動したけれど、今回もとても良い時間を過ごせた。まず物腰がとても穏やか。まるでホテルのコンシェルジュのように丁寧な言葉遣いと態度で接客してくれる。そして当然のごとく紅茶の知識も豊富。どんな紅茶を探しているか、どんなものが好きかを曖昧にでも答えれば色々提案してくれる。わたしのように知識が無い人間からも上手にヒアリングしてくれるのは本当に知識がある証だろう。今日なんてティーカップの話もたくさん聞かせてもらえた。紅茶は分からなくても美しいものへの関心は高いわたしであるから、カップやスプーンの話ができたのは嬉しかった。

そして最後、これが一番好きなところなのだけど、とてもリッチに試飲をさせてもらえる。前回もそうだったのだけど、ティーカップ並々の紅茶を3杯ほど飲ませてもらえた。もちろん、淹れるのが上手であろう店員さんの手で淹れてもらった紅茶である。少しだけどお茶請けのジャムも出てきた。これはもうその辺のカフェで600円ほど払って受けられるサービスと同等だ。すごすぎる。ちなみにこっちは少量だけれどウェルカムティーもある。お店を出る頃にはもうお腹たぷたぷだ。

こんな、何もかも素敵な紅茶屋さん。今日は余裕があったのでティーバックのセットを3つとジャムを1瓶買った。しばらくはこれで楽しいティータイムを過ごせそうな予感だ。わたしもいつかあの店員さんのように優雅な人になれたらなぁと思うのである。