令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

大家さんが嫌になった

わたしの部屋にはラベルレスのペットボトルの水が常備されている。週に一箱、Amazonの定期便で届くようにしてある。

別に水なんて蛇口を捻って組めばいいと、引っ越してすぐの頃は思っていたけれどそうもいかなかった。水を組みに行くのが億劫でなかなか水分補給をしなかったから、部屋にペットボトルを持ち込む形に変えた。そうしてからは上手く水分補給できている。ペットボトルの水を直接ティファールに入れてお湯を沸かすこともある。

水は大体の場合宅配ボックスに入れられるのだが、小さいところでは入り切らないようで大きめのボックスを使われることが多い。わたしはこれを取りに行かなくてはならなくて、最近台車を買ったもののやはり重い荷物だから取りに行くのには気力がいる。数日放置してしまうこともよくある。

先々週もそれで、なかなかやる気が出なくて宅配ボックスに放置している間に帰省が重なって、気づいたら1週間以上放置してしまっていた。もう次の分が届いていた。水自体は家にまだまだストックがあったから足りなくなることはなかったのだけど、それがより事態を悪化させたのかもしれない。

帰省から帰ってきた夜、インターホンが鳴って、わたしはなんとなくそれが出なければならないもののような気がしてオートロックの鍵を開けた。今思えば不用心なことだ。余談だが、この頃どうもインターホンの調子が悪くて受話器に耳を当ててもピーという音しか聞こえない。だから誰が来たかもきちんとは判断できないのだ。これはやはり管理会社に言わなければならないんだろうか、やだなぁ……。

インターホンを押したのは上に住む大家さんだった。いきなり「𓏸𓏸さん?」と、知らない苗字を呼ばれた。これは完全に間違っていたと思う。だけど大家さんが引いている台車には見慣れた水の箱が2箱乗っていて、まずいと思った。水は防犯として男性らしいハンドルネームで買っていたから、知らない名前に大家さんも戸惑っている様子だった。

それから水がずっと宅配ボックスに入っていたことや、そのせいで大家さん宅の荷物が入れてもらえなかったことを追及された。わたしの苦手な口調だった。「なんで持ってってくれないの」と言われた。

わたしに非があったのは分かるけれど、とても気持ち悪くて怖かった。いくら大家だからって他所の荷物を勝手に取り出すのはどうなんだ。宅配ボックスには鍵がかかっているのに。

この一件があってからなんとなく家の居心地が悪くなった。上に住む大家さんがわたしの苦手なタイプだと分かってしまって、なんだか実家にいる時と同じような感覚になっている。文字だけの単調だった契約に肉がついてしまった気分。生々しくて気持ちが悪い。この家は気に入っているのに、あんな人に管理されているんだと思うと嫌になる。またあんな風に荷物を取ってこられたらどうしよう。とても嫌だ。

漫画なんかに世話焼きな大家さんが出てくることがあるけど、わたしはそんなの絶対無理だ。東京らしく冷めた関係でいたい。人間関係で雁字搦めにされたくない。プライベートな空間を守りたい。