令和乙女日記

拗らせメンヘラの端書き

ホストに行った

なにもかも嫌になって、ホストクラブに行ってきた。歌舞伎町をふらついて、少し上手に話しかけてきた男性についていってお店に案内してもらった。CLUB BOYというところ。どのホストクラブが有名なのかとかは全然知らないけれど、あまり大きなお店では無さそうだった。外れを引いたのかも。
受付で身分証を見せて、初回だから前払いで2000円。ここで話しかけてきた男性は一旦先に入って、所謂「黒服」の男性と事務的なやり取りをした後、席に案内されることに。ここまではYouTubeなんかで見たことのある光景。
店内に入ったら姫のご入店でぇす!みたいな掛け声が飛んできた。まさしくホストクラブって感じ。店内は暗くて、やけに賑やか。席についたらパーカーのキャストが向かいに座って、タブレットで男性メニューを渡される。あと、名前や飲み物など、わたしについてのメモ?みたいなのを書かれた。あれは未知の世界だった。この時点で名前を書き損じていて、ああこのキャストはまだ下っ端なんだろうなと感じた。
それからは数分ごと?にキャストが入れ代わり立ち代わり入ってくる。みんなとりあえずわたしの容姿を褒めてくれたけれど、わたしは普段から可愛らしく派手な格好をしているので外見への褒め言葉はすっかり流せるようになってしまった。可愛げのない女のコ。
大体のキャストは隣に座って、さりげなく膝をくっつけてくる。スキンシップを取ってくる人や、こちらをじっと見つめてくる人もいたけれど、悲しいかなわたしはそういったものにすっかり耐性がついてしまったようで、全然ときめけなかった。ああよくある営業ね、と心の中でホストの世界に感心する。きっと彼らにとってもあのレベルのスキンシップは呼吸同然なんだろう。
お店のレベルが低かったのかもしれないけれど、トークのレベルはそんなに高くなかった。わたしは正直言って一途で依存体質だし、地雷系でこそないけれど明らかに変わった服装をしていてメンヘラ丸出しだし、高そうな服着てるし、風俗で稼げそうな若さと見た目だし、ホストはじめてだし……と、ホストにとっては「狙い目」な客だろうと自覚がある。だからこそずっとそういった場所は避けてきたし、自暴自棄になった時に向かった。ハマってしまえれば楽かも、と思っている部分も少しあった。でも全然ハマらなかった。
ホストの初回ってもっと、ガード固めて話しててもいつのまにか緩めさせられてて、案外怖くないと思ったが最後、その時点でお店の手中に落ちていて終わりの始まり、というイメージだった。お客さんのガードが固いのは当然で、それでもハマってしまう、ある種のプロフェッショナルなのだと想像していた。だけど、ああそんなものか、という感じだった。このレベルならネットの通話アプリで男漁りをしたってできるなという程度のトーク。わたしは確かにお客さんとしてただ座っているだけで、あまり一生懸命に話題を振ったりニコニコして場を盛り上げたりはしなかった。でもそれで怖気付く程度のキャストなら、お金を払ってまで話す価値なんて無いじゃないか。なんだこの程度か、結局わたしにはこういう遊び方は向いてないんだな、と思えた夜だった。

でもまあ社会勉強にはなった。ひとつ思ったのは、意外とみんな昼職で働いてから転職しているんだなと思ったこと。元警察官なんて人もいたし、家が神社をやっていて、國學院大學神職の勉強をしていたんだという人もいた。特に複雑な事情など無くともなんとなくホストになる男性は意外と多いのかもしれないなと思った。ホストって上下関係厳しくて、お客さんの管理とかも大変で煌びやかなイメージとは裏腹にしんどい仕事という印象だけど、一部の男性からするとそうじゃないのかも。お客さんも可愛くて若い子多い気がするし。
ああそうか、こういうところでも結局男女の差を感じて悲しくなる。夜職の女の子につくお客さんって身なりあんまり気にしないだろうに、差がありすぎる。そりゃ必要な覚悟の質が違うのも当然か。

わたしは短絡的な方法を使って幸せになれるような、そんな女のコではもう無いんだな。きっと経験豊富な、自分を持ったレディになりつつあるのだ。そもそも哲学的思考から逃げられない体質だし。真っ当に幸せを得るべく努力するしかないんだな。